2013年3月5日火曜日

最近見た映画(あけましておめでとうございます)


11月から中途半端になってなんも書いてなかったですね。もっとゆるくやっていきたいと思います。

 僕は音楽、美術、詩歌(最近は小説も)、映画、アイドルが好きなんですが、それぞれを体験した時に、感想を述べたい気持ちがアガるというか自分の中で言語がばーっと発生するのは映画とアイドルなんです。美術もままありますが、音楽と詩歌に限っては全然語る言葉が出てきません。ただただ陶酔っていう感じです。無論アナライズというか技術的な事は言えるのですが、まあまあの量を持った文章は全然書けません。これがどういう事かは自分でも分析出来ません。

 なのでブログで書く事も自然と映画とあとちょっとアイドルの事になっちゃうんですよね。

 とりあえずTSUTAYAログと自分の朧げな記憶を頼りに最近見た映画、というか前回の記事である『それでも僕はやってない』以降に見た映画を列挙してみたいと思います。TSUTAYAログを見ると12月、1月は映画借りてなかったみたいです。【劇場】と記してないのはDVDで見た作品です。


2012年 11月

小津安二郎『晩春』

ラストシーンが蛇足だという批判もあるようですが僕はあすこでグッと来ました。抑えていたものが最後に、静かに、孤独に、横溢する。とても美しいと思います。



北野武『HANA-BI』

 こりゃ海外で超ウケるのも頷けるわ。という作品でした。北野映画特有の暴力性、物悲しさ、カットの一枚絵としての美しさが北野アート、日本的な風景や叙情に彩られて、もう寧ろ「むさ苦しい」くらいに良い作品です。むさ苦しかったです。



2013年 2月

【劇場】ウェス・アンダーソン『ムーンライズ・キングダム』

 冒頭からもう心の中で「ウェス・アンダーソン最ッ高!最ッ高!最ッ高!」と叫んでしまい、シンプルなストーリーとあまりに可愛く素敵な映像に引き込まれていつの間にかわけがわからないくらい泣いていました。とりあえず今の所の今年最高の「映画体験」!
 駆け落ちした二人が辿り着いた目的の入江で、二人一緒にではなく浜辺の端と端から「せーの」で飛び込むシーンなんかもう胸が締め付けられて締め付けられて締め付けられてたまらなかったです。端と端="「ここ」から「ここ」まで"が、僕/私たちだけの秘密の国なんだ。というのが美しく甘酸っぱく表されたシーンでした。



【劇場】高橋栄樹『DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN 少女たちは涙の後に何を見る?』

 DOCUMENTARY OF AKB48シリーズを「映画作品として批評する声が少ない」というのも全く致し方ない事ですよね。特に48ファンであれば、一年に一度の活動報告映像として見てしまっても全然無理は有りません。
 実際この作品、僕は凄く「映画として」楽しめました。「センター」という特別な居場所を巡る物語としてとても奇麗に作られていたと思います。映像も息を呑む程美しい所が多々あります。
 だけどなんというか、それがやっぱりアイドルファンとしては辛かったですね。彼女達が背終わらされている不条理、体験している地獄が、結局良質な映画の中に回収されて「美しい正史」として纏められてしまう。



山下敦弘『リンダリンダリンダ』

 エンドロールが始まった瞬間思わずバチンと手を叩きました。もう、傑ッ作!公開された当時、『スウィングガールズ』みたいな潮流にある作品みたいな感じで宣伝されていたので見なかったのですが、それを後悔しました。
 観客をノルタルジーと後悔の渦に叩き込む青春ムンムン映画なんかじゃないです。本当に、軽音をやっている女子高生の「とある一ヶ月間」を鮮やかに切り取っただけのような映画です。劇的なカタルシスやエンタメ的な不必要な説明過剰は一切無し。そもそもブルーハーツに彼女達は全然思い入れは無い(!)。だからこそ、変に化粧を施されない少女達の日々、拙い演奏の魅力が大爆発しています。「ありがちなセイシュンものでしょ?」と白けて見てない人は絶対に見た方がいいです。
 (あとバンドの四人が全員好きなので困りました...。ペ・ドゥナ可愛いですよね。ベースの人が特に気になって、この女優さんが出てる映画もっと見たい!と思ったら女優じゃなくてベースボルベアーっていうバンドのベースの方だったんですね...)



ウェス・アンダーソン『ダージリン急行』

 カメラワークや不意に現れるアーティスティックな映像なんかはウェス作品だなーと思ったのですが、今一のめりこめませんでした。物語の根幹となる「旅」が、それこそ根幹となるための立地の仕方が甘いように思えて、ちょっとぼーっとしたまま映画が終結した印象でした。



オムニバス『ユメ十夜』

 正直、見る必要なかったなと思わされてしまいました...。山下監督目当てで見たんですが。元々シュルレアリスティックである原作に現代的な奇怪さで彩色し直そうとしてる作品が多かったように思われるのですが、ひたすらグロテスクに終わってるものばかりだったと思います。
 第九夜(監督・脚本:西川美和)、第十夜(監督・脚本:山口雄大、脚本:加藤淳也、脚色:漫☆画太郎)が好きでした。前者は原作により叙情性と皮肉を加えていてスタイリッシュ。後者はもうひたすらに馬鹿にブッ飛んで、これくらいやらなきゃ痛快じゃないだろ!十夜がここまでの作品を笑い飛ばしてるだろ!と思えて良かったです。



ポール・トーマス・アンダーソン『ブギーナイツ』

 『ザ・マスター』公開の前にPTA作品見ておこうと思って『マグノリア』を借りたら盤面が焼けてて見れなかったんですよ。ので次にこれを借りました。
 面白かったです。80年代前後のアメリカのポルノ史を追えるのも良かったし、何よりポルノムービー業界を主に描いているのに全く下衆じゃない。美学と誇りに溢れた青春映画です。ポルノ、ドラッグ、暴力の側から描いたアメリカっていう感じで、繰り返しになりますがそれが下衆じゃないのが良かった。勧善懲悪、成功、カタルシスのアメリカではないアメリカ。それが良く描かれていたと思います。



山下敦弘『マイ・バック・ページ』

 山下監督は『松ヶ根乱射事件』で惚れて、また最近山下監督ファンの方と友人になったのもあって追うようになりました。
 曖昧さや冗長さが散見されて、ちょっと見ていて疲れました。でもあのラストシーンで胸を締め付けられた後に、その「疲れ」こそが美しい体験なのかもしれないと思わされました。革命に燃える学生の熱い意志よりも、それを追うジャーナリストの誇りよりも、とにかくあの時代の「疲弊」。それこそがこの映画の主題だったと思います。だから全く疲れないスタイリッシュな見せ方だったら、全然響かなかったのかもしれません。僕はこの映画を見て疲れました。その疲れはきっと、登場人物が痛い程に感じた「疲れ」と繋がっているものだと信じています。
 あとdemioさんも言ってましたが煙草をアホほど吸いまくってるのがマジで良かったです。山下仕掛け。



西川美和『ゆれる』

 確か『パビリオン山椒魚』と同時期に公開された映画ですよね。
 賛否あるみたいですが、僕は好きです。先ずタイトルが凄い。「ゆれる」。解るのか解らないのかが解らないこの言葉。劇中で道場人物がこの言葉をセリフの中で発する時の緊張感は凄いです。ゆれるとは何か?とかなり神経が研ぎすまされます。
 この作品は展開の説明の省き方が物凄く鮮やかです。説明的なセリフやカットを入れずに「今何が起こってるか」を、"注視さえしていれば"解る形になっています(これって俺は最高だと思うしこういう技術が有ってこそ芸術映画だよなと思ってます)。だから物語の展開や推移は凄く解るのだけれど、注視していても登場人物の心象が掴めない。言ってる事は解るけどそれが嘘なのか本当なのか、嘘だとしたら/本当だとしたら何故そんな事を言うのかが解らない。これは悪い意味ではなく、人間の生々しさの現れに感じました。人物の発言/思考も「ゆれる」し、それを見ている観客の理解/判断も「ゆれる」。それが僕は良かったです。描きたいのは事件じゃなく、そもそもの人間なんだという気概。



ポン・ジュノ『殺人の追憶』

 惜しい。実に惜しすぎる。連続殺人事件を追う刑事達の、掴めない闇へ向かう物悲しさ、徒労感、絶望感がとんでもなく美しくまた生々しく描かれた作品です。僕はこの映画のラストシーンを忘れる事は出来ないでしょう。あそこにこの映画の全てが、分散されていた魅力の全てが再結集し凝縮し悲しい宝石のように光り輝いていたと思います。
 ただ脚本がマズい。そこ展開としておかしくね?もちょっと説明が必要じゃね?人物の反応が必要じゃね?と見ていて思ってしまう箇所が散見されます。また中心の登場人物以外の脇役の使い方が杜撰に思われました(逆に中心人物の描き方はあまりに素晴らしい)。その辺がなんというか、高校生が書いた下手な小説みたいな感じなんです、作家のご都合主義というか。だからそれさえ無ければ、もう諸手を上げて「傑作だ!」って叫びたい作品だったのですが...



山下敦弘『リアリズムの宿』

 最ッ高の83分間でした!もう笑えて笑えて仕方なかった。山下作品特有の「生々しさ」がそのままドストレートに「笑い」に直結していて、壮快極まりなかったです。もう語る言葉が「面白い!」に終止してしまうくらいの面白さです。
 また人物やカメラの動きのおかげで、「映像を見る事」の楽しさを再認識させてくれる映画でもありました。尾野真千子が最初に登場する浜辺の映像とか豪奢な写実絵画みたいです。
 この映画では子供がたくさん出て来たのも良かったです。これも山下作品の「リアルさ」を支える存在だと思います。"嘘"を持ち得ない存在をどれだけ映し込めるか。




 とりあえず以上です。あと今手元にあるDVDは
ソフィア・コッポラ『ロストイントランスレーション』
ポール・トーマス・アンダーソン『パンチドランク・ラブ』
パク・チャヌク『オールド・ボーイ』です。



ではまた。





【番外編】
ウェス・アンダーソン『Fantastic Mr.Fox』

 大好きな作品で、最近久しぶりにまた見てみました。
 うーん、初めて見た時は立ち上がって大声で叫びたくなるほどの感動、傑作感があったのですが、改めて見たら気になる所もままありました。フォックスの父親としての態度とか、社会を獲得していた動物達が野生へ回帰する必然性とか...
 でも僕がウェス・アンダーソン作品に惚れる切っ掛けとなった作品なので、これからまた何回か見て、要するに付き合って行きたいです。


【番外編2】
最近は栃木のロコドル、とちおとめ25がお気に入りです。


これ行きました。
初めて見たんですが、なんか昔のももクロを見ているようで涙出てしまいました...

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